2013年11月20日水曜日

療養生活を支えるもの 1 バイパップ

夫の自宅療養生活を支えるものについて、いくつか書いてみよう。

夫が難病だ、というと、
「入院してるの?」
という人がけっこういるが、
病院というのは「病気や怪我を治療するところ」なので
治療法のない患者はおいてもらえない
のである。

なので、夫も自宅で、色々な器具や人の助けを借りて生活している。

ALSは筋肉を動かす神経ニューロンが壊れていくために筋肉が動かなくなる病気で、
中でも呼吸筋が動かなくなることが命取りとなるため、
生き延びるためには病気の進行に合わせて、人工呼吸器を使うことになる。

人工呼吸器には、気管切開をともなう侵襲型のものと、
顔にマスクを装着して用いる非侵襲型のものがある。

侵襲型は、気管切開するため、つけてしまうと口から食事したり
自分の声で話すのが困難になる。
また、普通の人なら手術のときなどに一時的に使って、その後取り外すことはできるが、
「生命維持装置」と言う位置づけになっているため、
ALS患者のように、それをはずしたら呼吸が止まる恐れが大きい場合は、
いったんつけたらもうはずすことができない。

一方、非侵襲型は、取り外し自由なので、
症状がさほど進んでいないときから時間を限って使う、ということもできる。

夫が使っているのも、この非侵襲型タイプの「バイパップエーバップス」というもの。
 

黒いボックスが本体。マスクの下になっている右半分は、加湿タンクが納まっている。
真ん中においてある「鼻マスク」を鼻に当てて、頭にベルトで固定し、
スイッチを入れると、空気が送り込まれて呼吸を助けるというもの。

鼻マスクは、口を開けていると空気が抜けてしまうので、
寝るときは口まで覆う「口鼻マスク」にはめ換えて使っている。

去年の3月にALSの診断を受けた後、4月に入院して機械の調整と練習をして、
最初は夜寝るときだけ使っていたバイパップだが、少しずつ使う時間が増えて、
先月後半くらいからは、朝晩、2階の寝室と1階の居間を移動する間以外は
ほとんど外さずに生活している。

この機械は1台しかレンタルできないので(自費で調達すると高価)、
移動の度に私が1階→2階→1階と運んでいる。
加湿器のタンクの水は毎日1回いっぱいにして、ちょうど無くなる感じ。
マスクは毎日アルコールを含むウェットティッシュで拭くほか、2日に1回水洗い、
ベルトも毎日洗濯したものに交換している。

半年くらい前までは、食事のときは外していて、
それが段々苦しくなってきたときは、もう、口から食べるのはあきらめるか、
と思ったのだが、ためしに鼻マスクをしたまま食べてみたら、
案外大丈夫なことがわかり、今も、私が夜仕事でないときの夕食は、
マスクをしたまま普通食を食べている。

このバイパップは、小型軽量で音も小さいのだが、
電源がACのみのため、停電になったらバッテリーに差し替えなければならない、
というのが難点だ。なにせ、夫は手が使えないから、人が居なければできないからだ。

太陽光発電にすれば、停電の心配がない、と気づいたのはつい最近のことだけど、
まだその可能性については探っていない。

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