2013年11月27日水曜日

療養生活を支えるもの 2 吸引器


肺の機能が落ちてくると、喉に絡んだ痰を出すことも難しくなってくる。
そこでお世話になるのが「吸引器」である。

去年6月の胃ろう建造のための入院の際、在宅療養の準備も色々したのだが、
そのとき吸引器も選んでもらっって購入した(補助あり)。
吸引チューブの先には細いカテーテルを付けて使うのが一般的だが、
夫は自分で吸引するので、その場合カテーテルは取り回しが悪いので、
スティック状のレディケアプローブというのを使っている。

段々に手の力が無くなって、吸引器のスイッチを入れるのが難しくなったので、
去年の暮れぐらいからは、同じタイプでバッテリーはないがフットスイッチ付きの機種(写真)を
全額自費で購入して使っている。


 
 
レディケアを手で持つことも難しいので、写真のようにマイクスタンドにセットして、
吸い口先が夫の口元に来るようにセットしておき、
痰を出すときは、自分でフットスイッチを入れて吸引する。

以前使っていた機械は、寝室のベッドサイドに置き、
そちらでの吸引は私が介助して行っている。

メンテナンスとしては、タンクは毎日洗浄、
レディケアとチューブは階下用は就寝時にミルトン消毒液のタンクに付けておき、
寝室用は逆に日中消毒しておく。
チューブとレディケアは、汚れによって4~6週間くらいで交換している。

一台しかなかったときは、朝晩,5.5キロの機械を上へ下へと運んでいたから、
結構重労働だったし、チューブの清潔を保つのも大変だったけれど、
2台になってからは、そのあたりは楽になっている。





2013年11月20日水曜日

療養生活を支えるもの 1 バイパップ

夫の自宅療養生活を支えるものについて、いくつか書いてみよう。

夫が難病だ、というと、
「入院してるの?」
という人がけっこういるが、
病院というのは「病気や怪我を治療するところ」なので
治療法のない患者はおいてもらえない
のである。

なので、夫も自宅で、色々な器具や人の助けを借りて生活している。

ALSは筋肉を動かす神経ニューロンが壊れていくために筋肉が動かなくなる病気で、
中でも呼吸筋が動かなくなることが命取りとなるため、
生き延びるためには病気の進行に合わせて、人工呼吸器を使うことになる。

人工呼吸器には、気管切開をともなう侵襲型のものと、
顔にマスクを装着して用いる非侵襲型のものがある。

侵襲型は、気管切開するため、つけてしまうと口から食事したり
自分の声で話すのが困難になる。
また、普通の人なら手術のときなどに一時的に使って、その後取り外すことはできるが、
「生命維持装置」と言う位置づけになっているため、
ALS患者のように、それをはずしたら呼吸が止まる恐れが大きい場合は、
いったんつけたらもうはずすことができない。

一方、非侵襲型は、取り外し自由なので、
症状がさほど進んでいないときから時間を限って使う、ということもできる。

夫が使っているのも、この非侵襲型タイプの「バイパップエーバップス」というもの。
 

黒いボックスが本体。マスクの下になっている右半分は、加湿タンクが納まっている。
真ん中においてある「鼻マスク」を鼻に当てて、頭にベルトで固定し、
スイッチを入れると、空気が送り込まれて呼吸を助けるというもの。

鼻マスクは、口を開けていると空気が抜けてしまうので、
寝るときは口まで覆う「口鼻マスク」にはめ換えて使っている。

去年の3月にALSの診断を受けた後、4月に入院して機械の調整と練習をして、
最初は夜寝るときだけ使っていたバイパップだが、少しずつ使う時間が増えて、
先月後半くらいからは、朝晩、2階の寝室と1階の居間を移動する間以外は
ほとんど外さずに生活している。

この機械は1台しかレンタルできないので(自費で調達すると高価)、
移動の度に私が1階→2階→1階と運んでいる。
加湿器のタンクの水は毎日1回いっぱいにして、ちょうど無くなる感じ。
マスクは毎日アルコールを含むウェットティッシュで拭くほか、2日に1回水洗い、
ベルトも毎日洗濯したものに交換している。

半年くらい前までは、食事のときは外していて、
それが段々苦しくなってきたときは、もう、口から食べるのはあきらめるか、
と思ったのだが、ためしに鼻マスクをしたまま食べてみたら、
案外大丈夫なことがわかり、今も、私が夜仕事でないときの夕食は、
マスクをしたまま普通食を食べている。

このバイパップは、小型軽量で音も小さいのだが、
電源がACのみのため、停電になったらバッテリーに差し替えなければならない、
というのが難点だ。なにせ、夫は手が使えないから、人が居なければできないからだ。

太陽光発電にすれば、停電の心配がない、と気づいたのはつい最近のことだけど、
まだその可能性については探っていない。

2013年11月14日木曜日

さのすけ音頭

(ブログネタがまとまらないので、「暇ネタ」です)

猫と遊ぶのに、ちょっとした節をつけて歌いながら遊ぶ人は意外と多いと思う。
私もそのひとりで、うちの猫の好きなことをしてやるとき(おなかを撫でるとか)
お囃子のように口ずさむ歌がいくつかある。

民謡の合いの手に「サノヨイヨイ」というのがあるけど、
うちの猫「さのすけ」のことは、普段「さのちゃん」と呼んでいるので、
あるときふと

「サノヨイヨイ」で「さのすけ音頭」ができるなあ

と思って作ったのが、これ。

♪サーノヨイヨイ、サノヨイヨイ
さのちゃんは よい猫 サノヨイヨイ

うちのさのちゃん よいニャンコ
茶色と白のまるい猫
「さのちゃん」と呼べば やってくる
「さのちゃん」と呼べば 返事する
人のことばがよくわかる~

さのすけ さのすけ よいニャンコ
さのすけ さのすけ よいニャンコ

サーノヨイヨイ サノヨーイヨーイ♪


      

2013年11月4日月曜日

冥土の土産

前回投稿以後、夫が上気道炎(風邪?)を起こして
微熱があったり、痰がひどくて呼吸が苦しくなったりしたため、
日々のさまざまな手順を調整することになり、
ちょっとばたばたしていた。

今はようやく落ち着いてきたのだけれど、
一時は、口から食事をするのも疲れるからと控えていたりして、
ああ、もっと美味しいものをちゃんと食べさせておけばよかった、
このまま食べられなくなってしまうとかわいそうだなあ、と思ったのだが、
なんとかまた食べられるようになったので、ちょっと安心した。

夫の場合、身体の他の部分の病気の進行に比べて、
嚥下障害や言語障害はまだ進んでいないので、
話もできるし、鼻マスクで呼吸器を使いながら、食べたり飲んだりもできている。
とはいえ、徐々にその部分も弱ってくることが考えられ、
実際、ちょっと誤嚥が疑われるところもあるので、
誤嚥性肺炎に至らないように注意しなければいけない。

ALSの場合、栄養状態を維持することはとても大切で、
夫の場合は、去年6月(診断を受けて2ヵ月半後)の段階で
呼吸機能が落ちてしまう前に、という主治医の勧めで胃ろう建造手術を受けた。
(この手術は、呼吸機能が下がってしまうと受けられない)
体調や暮らしのスケジュールの必要に応じて
食事と胃ろうからの栄養注入を組み合わせて、きょうまで来ている。

だから、食べられなくなった場合の備えはあるわけだけれど、
やっぱり人間、口から食べる楽しみというのは大きいから、
食べられるうちは、できるだけ食べさせてあげたいと思う。

去年、まだ仕事に行っていたころは、病気の進行も早かったから、
もう、先は長くない気がして、食べる機会のあるときは
「冥土の土産」と称して、普段は手を出さないものを買ってきたりしたけれど、
この春くらいから、比較的落ち着いた日々になって、
食事もまた、普段着になり、けっこう手抜きもしていたから、
ここでちょっと、またねじを巻き直すかな。