ふーちゃんとチャカの子どもたちが次第に大きくなり、活動範囲が広くなるとともに、
猫小屋にいつもみんな帰ってくるのではなく、それぞれ別の時間にやってきては寝ていたり、 戻ってこなかったり、と、次第に姿を見せなくなっていった。
オス猫は、やはりメスを求めて移動するようで、何ヶ月かして戻ってきた猫もあるので、 回遊しているのかもしれない。
そんな中で、ふーチャカの子猫で小屋に残ったのがウッシーである。
玄関前に住んでいるのだからうちの猫のようなものなのだが、触らせてはくれないし、
どうも他のうちでもいい顔しているらしく、うちでご飯を食べなくても平気でいた。
そのうち、ウッシーの後に生まれた若い猫たちがやってくるようになり、
雉トラの「クッキー」、黒白の「べえ」、白にグレーのぶちの「クンクン」が常連となった。
当時我が家では、「一番安いカリカリ」と「安売りの牛乳」を出していたのだが、
この4匹にはちょっと愛着がわき、缶詰も(一番安いやつ)買って、
4匹そろったら食べさせる、ということもやっていた。
みんなオスだったので、成長とともにウッシーを残してまた去っていき、
今度は前髪で見分ける「チップとデール」
それにポコちゃんがやってきた。
この子たちは良く慣れて、リビングの方にも入ってきて、夫のうたたねに付き合ったりしていた。
ウッシーもオスだったが、3年ほど猫小屋に住んでいた。
このまま居つくのか、と思われた2004.1.12
(日付を覚えているのは、ちょっとしたイベントに出かけた日だったから)
帰ってみるとウッシーがおらず、この日を境に、ウッシーとポコちゃんの姿を見なくなった。
猫でも駆け落ちするのだろうか、と思ったものだ。
駆け落ちなら良いが、猫捕りにつかまったのでは、と心配してもどうにもならない。
いなくなるひと月前くらいからは触ったりだっこしたりもさせてくれていたので、
なぜあのタイミングでいなくなったのかはなぞのままだ。
以来、時々思い出しては、「ウッシーどうしてるかね」と夫と話していたのだが、
5年後の2009年秋、偶然近所でウッシーに出くわした。
小さな谷のようになっている地形の、手前のふちを歩いているのを発見し、
「ウッシー、ウッシーでしょ?」と声を掛けたら、不思議そうに振り向いて、
遠い記憶を探るような目でこっちを見たあと、「またな」とばかりに谷の向こうに去っていった。
身体もきれいで元気にしているようだったので、5年分の気がかりが溶けて、ほっとした。
また会えるといいと思いながら、その後は会っていない。
(つづく)
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