2014年1月10日金曜日

療養生活を支えるもの 3 カフアシスト

排痰を助けるもうひとつの機械が、これ、カフアシスト。

 
 
 
カフ(咳)アシスト(補助)の名前どおり、咳を促す機械である。
 
スイッチを入れると、吸ってー吐いてー休みー吸ってー吐いてー休み
と、空気を押し出し、吸い込み、停止を繰り返すので、
マスクを鼻口に当ててこれを受け、肺の奥から痰を引き出すのである。
普通の呼吸機能のある人が深呼吸をしたり、エヘンと咳払いするところ、
呼吸機能が落ちてできない人の手助けをする。
 
この機械のことは、診断されて間もないころ、
私がALSのことをネットで調べていて、使っている方の記事に行き当たって知り、
当時の主治医に使いたい旨を申し出たのだが、
その医師は、少なくともその段階ではさほど有効だと思っていなかったようだった。
それでも、夫がバイパップの導入だったか、そのあとだったかで入院していたときに
お試しで手配してくれた。
 
「吸ってー吐いてー休みー」
とやって見せ
「これだけなんですよね」
と言っていたのだけど、夫には合ったようで、痰がとれて気持ちがよい、ということで、
自宅に導入することにして今日に至る。(レンタル)
 

うちの場合は、1秒吸って、1秒吐いて2秒休み、という設定で使っているのだが、
吸気、呼気、休憩で、マスクにかかってくる圧力の方向が変わるので、
押さえる人はそれに注意して、空気が漏れないようにしなければいけないのだが、
ナースたちが意外にこれに苦戦している。

私は特にメーカーの人に訓練受けたわけでもなく、
病院でドクターが「これだけなんですよね」とやったのを見ただけだけど、
機械は1秒・1秒・2秒で動いていて、それぞれ音が変わるから、
要するにそれに合わせればいいんだな、と何回かやってすぐできるようになったけど、
なかなかそのコツが飲み込めない人もいる。
メーカーに出向いて教えてもらったりしても、である。

まず、機械ではなく夫の胸の動きに合わせようとする間違い。
空気の流れは機械がコントロールしているのだから、機械に合わせればいいのに、
なぜか人間に合わせようとする。
そうではない、と注意してもかたくなに患者を見ようとするのはナースの性なのか?

そして、音の変化が聞き取れないという問題。
明らかに噴出し、吸い込み、停止では
ぽーぴーごー、という感じに音が違うのに、わからないという人。

さらに、聞き取れても、噴出しが始まってから押さえようとする間違い。
最初の1秒が始まってから押さえたのでは肝心の最初の空気が漏れてしまい
十分に吸い込めないことになってしまうから、
2秒休みの間に準備して、1秒の直前に強く押さえなければいけないのだけど、
それも言われるまでわからない人、言われてもできない人。

そういうのはストレスだと思うのだけど(傍で見ている私にはすごいストレス)
夫は忍耐強く、
「きょうは80点。最初の押さえるタイミングが遅かったね」
などと指導しているので感心する。

単純な4拍子だと思うけど、そう言ってもピンと来ない人は
きっとタンゴも踊れないだろうなあ。

0 件のコメント: