2日後、社長から封書が届いた。が、単なる詫び状。
としを逃がしたこと、不用意にドアを開けて帰ったことなど、とにかく申し訳ない、というだけ。
そうじゃないだろう!
早速電話する。
「今回の1日分については仕事をしてもらったので、請求して頂いて・・・」
「あっら~、とーんでもございません、○○さまぁ、御請求だなんて」
この口調に、ああ、まともに話す相手ではないな、と気が萎えるのをなんとか立て直し、
請求するつもりがないなら、そしてそれで今回のことをチャラにするつもりなら、
そのように伝えるべきではないのか?
ただ放っておいて、「とんでもございません」ですむつもりなのか?
まともな事業体なら、問題を調査した報告書とともに、
今後どうするつもりなのか改善提案を出すものだろう、
と言う。
なんで私が、事業体の責任の取り方を指南してやらなきゃならんのだ。
この社長、もちろんこういう場合の対応手順は用意しているので、報告書を作って送ります
とのたもうた。
さて、最初の診察から一週間、としの状態はだいぶ改善してきたようだったが、
エコーでみると結石があるようなので、尿のサンプルを家で取ってみてほしい、
と言われる。
うちでは普段紙砂を使っているので、そのままでは尿はとれない。
砂を新聞紙をちぎったものに置き換えて、吸い取られない部分をスポイトで採取するのだ、
と言うが、他にも2匹いるし、いつするかもわからないのだから、
「やってみます」とは言ったものの、まず無理だと思ったし、実際無理だった。
その後さらに2週間余り経つころには、やはり排尿困難になり、
やむなくカテーテルを入れて尿をとってもらうことに。
結石が確認されたので、尿のpHを下げるための療法食を食べさせることになった。
療法食というのは、だいたい2キロで4000円位する。
それまで食べさせていたのが、2キロで698円とか、
せいぜい1000円のものだったことを思うと、とんでもなく出費が増える話だ。
そして、としは食いしん坊なので、他の子のごはんもすぐに食べてしまうから、
同じものを与えるか(ひえー、高くつく~)
じっと見張っているか(手間かかる~)しなければならず、
これまでのように留守のときは適当にごはんを置いて、ということもできないし、
日々この手間に取られるエネルギーと時間はかなりのものになって行った。
そういうことについて、一体シッターの会社に補償を求めることはできるのだろうか、
などと思っていたのだが、この会社から「報告書」なるものが郵送されてきたのは、
先の詫び状から一ヵ月後のことだった。
その内容は、
「私たちは全員でミーティングを重ねて、こういうことが起きないように確認しました」
というもの。また、
としが「本当に今回のことが原因で病気になったのなら」その治療費は払う、とも。
「なったのなら」である。「証明できるならしてみな」と言わんばかり。
さらに、
「なにかありましたら、同封の返信用封筒でご連絡ください。」と書きながら、
その封筒が入っていない。
あまりのことに、また電話をかけ、受けたスタッフにそのことだけを伝え、
近々消費者センターに届けることで決着しよう、と考えた。
結局、その届けは出さなかった。
身近で葬儀が続いたり、父が入院したり、なんだかんだあって
とてもそのエネルギーがなかったのだ。
そして、相手からもなにも言ってこなかった。
つまり、社長とはついに顔を合わすことがなかった、ということだ。
この会社が今も営業していることを思うと、
なんらかのアクションをとった方がよかったのかもしれないが、
この無責任な人たちと、これ以上係わり合いになりたくなかった。
以後、我が家では、何回か泊まりで出かけることがあり、
その度にいろいろなペット・シッターに出会った。
それぞれに長短あり、また相性というのもあると思う。
うちでよかったところが他の人にもよいかどうかはわからないが、
良し悪しの見分け方はだいぶわかった気がする。
としの病気持ち生活が始まったことと、
それによって私たちの生活にも制約が出てきたという意味で、
この事件は我が家の猫との暮らしの「転機」となったのだ。
(猫物語はつづきますが、この件は一応終わりです)
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