たまにはALSネタを。
ALSという病気は、筋肉が衰えていく病気で、早い段階で嚥下困難になるケースもあれば、
呼吸筋が衰えることで食事をするのが難しくなることもあり、胃ろうを造るのが普通である。
夫も、2012年3月の診断の時点で呼吸が平常値の60パーセント余りと落ちていたので、
6月には入院して胃ろうを造った。
すべての食事を一気に胃ろうからの経管栄養剤に替えたわけではなく、
食べられるときは口から食べて、時間がないときや疲れたときは胃ろうで、というかたちで
回数が上下しながら、今は、朝、昼と、夜私がいないときは経管栄養、
夜いるときは、少しだけおいしいものを時間をかけて食べた後、栄養剤にしている。
胃ろうには、バンパー型という樹脂のストッパーを使用していて交換が半年に1回でよいものと、
バルーン型といって小さな風船に水を入れてストッパーにする形で4~6週で交換するものがある。
バンパー型は病院で交換しなければならず、バルーン型は訪問診療で交換できる。
夫は最初はバンパー型にしたが、次の交換に病院に来ることは困難と考え、
半年後の交換時にバルーン型にして、その後は訪問診療で毎月交換してきた。
今年の4月になって訪問医から、バルーン型の誤挿入による重大事故の報告があり、
内視鏡による確認が推奨されたが、自分のクリニックではその体制がないので、
次からは入院してバンパー型に替えて欲しい、と話があった。
そして5月になってメールで提示された選択肢は
胃瘻を半年1回の交換で済むバンパー型のタイプにして、半年1回病院で
1)日帰りでの交換、
2)1泊2日の入院での交換、
3)数日間の検査を兼ねた入院での交換、
4)レスパイト入院と組み合わせた入院
というものだった。
私たちは、今の訪問医が担当になったときに、
訪問医、訪問看護、介護のスタッフが集まってミーティングをして、
夫の看護、介護についての基本方針を確認しているのだが、
そのときに「いかなる入院も望まない」という話もしていた。
それなのに、こちらの希望などお構いなしに、
市の診療所のネットワークの提案を、そのままただ提示してきたことに大層がっかりした。
この訪問医は夫が在宅になって二人目なのだが、
一人目の医師は夫に
「あなたは自分がどうしたいか遠慮せずに言えばいい。それをみんなが実現するから」
と最初に宣言し、基本姿勢がはっきりした人だったのだが、
あとで聞いた話では、その医師はポータブル内視鏡を購入し、
今までどおり在宅でバルーン型の交換ができるようにしたとのこと。
今の訪問医にその気がないからと言って、
上の提案を「はい、そうですか」と受け入れるわけにはいかない。
私たちの意向を尊重して欲しい旨を改めて伝え、何度かプッシュして
内視鏡を使える別のドクターが、胃ろうの交換のみ担当で来てくれる事になった。
フタを開けてみれば、その医師は訪問診療に力を入れたクリニックの経験が長く、
標榜している専門は呼吸器と内分泌系なのだが、胃ろうについても指導する立場にあり、
詳しい情報を持っていて説明もとてもわかりやすい人だった。
うちに来てくれている介護ヘルパーさんたちは、他のALS患者の仕事もしているのだが、
ヘルパーさんによれば、彼女たちが担当している患者さんたちは
みんなこのドクターにかかっている、とのこと。
うちでお世話になるのは胃ろう関連のみだが、
ALSのこともわかる医師が結果的に二人つくことになり、なんだかよかった。
今月半ば、第一回の交換も順調に終わり、結果オーライ。
うちはそれでよかったのだけど、他の人はどうだろう。
先に訪問医の示した杓子定規な提案について、他の患者さんはどうしたのか聞いてみたら、
8割がたそれに従った、という。
胃ろうをしていても体力があって外出もしている人もいるのだろうけど、
そうではない寝たきりの人が、医師に反論できずに従って、
担架で運び出して入院して、痛みを伴うバンパー型の交換を強いられているとしたら
ずいぶんかわいそうなことだと思う。
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