日本語のニュースを英語にする、という仕事をしていると、
この時期「どこそこで、○○の花が見ごろを迎えました」と言った話題がよく登場する。
少し前の2月ごろ登場するのが「スイセン」。
これを英語にするときは注意が必要。
ラッパスイセン、キスイセンならdaffodilだけど、白くて小さい日本スイセンはNarcissusと、
英語では違う単語になる。うっかり思い込みでdaffodils と書いてしまって、
読もうとしたアナウンサーが画面を見て愕然とした、ということも過去にあった。
同様に、「ハト」も鬼門だ。
たぶん学校では、ハト=pigeon と習うから、まず頭に浮かぶのはこの単語だろう。
しかーし!「平和の象徴、ハト」となると、pigeon ではマズイ。
そう、石鹸のブランド名にもなっている dove という言葉が、あの白い尾羽の多い鳥を指す。
こういうのが同時通訳中に出てくるのと、困る。
映像に映っていてくれればいいけれど、そうでない状況で
「ハトがたくさん集まって・・・」
と始まれば、つい
"We see many pigeons here."
とかやってしまい、そのあとで
「ハトは平和の象徴です」
と言われても、後の祭りなのだ。
ついでに言えば、「カメ」だって危ない。
tortoise か turtle か。
え、どう違うかって?
tortoise は陸生、turtle は水生の亀を指すとされているけれど、
実際の用例を見ると、どちらの語も「カメ全体」を指して使われることもある。
でも、ガラパゴスゾウガメは tortoise で、ウミガメは turtle なのだ。
私が修士をとったUniversity of Maryland のマスコットもカメだった。
それはterrapin で、縮めて Maryland Terps というと、大学のスポーツチームのことだった。
このterrapinは北米の淡水や半塩水に住む食用ガメのことだけど、
そんなことはMaryland に行くまで知らなかったのは言うまでもない。