朝、手首から甲にかけてこわばって、その痛みで目が覚めるということが何日が続いた。
そのころは、夫が自分の足で立つことが難しくなっていて、
ベッドから車椅子、車椅子から昇降機といった移動や入浴の際に
介助するこちらへの負担が日に日に増していた。
私が倒れてしまうわけにはいかないので、腰など痛めないよう、
夫に介助ベルトをつけ自分も腰ベルトをして、身体全体で支えるようにしていたけど、
やはり介助ベルトを握る手に負担がかかっていたことは確かだから、
おそらくそのせいだろうと想像はついていた。
起きて動いているうちにこわばりも取れてくる、という時期がすぎると、
今度は親指と中指に「ばね指」の症状が出てきた。
ネットで調べてみると、ばね指は腱鞘炎からくるので、
とにかく手を休めるしか治る道はないらしい。
さらに、更年期でも親指と中指にばね指が出やすい、とまで書かれると、
どうしようもないな、という気になる。
11月に入って、夫が毎日シャワーを浴びることをやめたので、
えいや、と介助する回数が減り、少しは良くなるかと思ったけれど、
清拭をするためにやはり手は使うので、「休める」からはほど遠く、
関節がカクカクするだけでなく、親指の付け根が痛んで力を入れられず、
ビンのふたを開ける、なにかをつまんでひねる、といった動作が難しくなっていった。
年が明けて、夫がベッド生活になり、力仕事の介助は少なくなったので
これで手も良くなると思ったけれど、腕のハリは確かに減ったものの
指関節の不具合は続いていた。
特に困ったのが、字を書くのが一番関節に痛みを感じて辛かったこと、
そして右手の親指を使わないと携帯のメールが書けないことだ。
薬局で手首から手の甲を覆うサポーターを買ってきて使ってみたが、
却って握る力が弱くなって危ないのと、親指の保護になっていない気がして、
さらに探してみて見つけたのが「かぐや姫」という代物。
赤ちゃんを抱っこして腱鞘炎になるお母さんのことを考えて作りました、
というので、ああ、これなら狙いどころは同じようなものだろう、
と考えてネットで購入したのが2月。
にわかに痛みが取れるとか、そういう改善はなかったけど、
これをはめていればなんとか字を書くことはできたし、
力がかかって「イテッ」となる前に支えてくれる安心感があった。
それでも、関節をカクカクいわせているグリグリしたものは、けっこう頑固で、
このまま固定化してしまうのではないか、とさえ思わせる感じだった。
4月に入って、友人でテーピングの名手と言われている人に久方ぶりに会う機会があったので診てもらった。この関節のグリグリの正体はよくわからないけど、腱鞘炎ならこのテーピングで痛みはとれるはず、という処置をしてもらった。そして、炎症なのだから、お風呂でマッサージはNG、などの注意を受け、やっぱりとにかく使わないようにすること、とも言われた。
テーピングは4日くらいではがれてきたのではずしたけれど、
その間は「はってある」ということが「動かさない」という意識につながって、
今までより極力使わないでいることができたと思う。
それと並行して、ここ数年かよっているカイロプラクターにも関連するストレッチを教えてもらって実行していたら、ここにきて症状はだいぶ改善してきた気がする。
少なくとも、「固定化する」ことはなく、「よくなるんだろうな」という感じになってきた。
しかしなにごとも治りがけが肝心。
痛みがすくなくなったぶん、ついつい動かしているのだけど、
完治するまでまだまだ休ませてやらなければ。
それにしても、
今やっている楽器がヴァイオリンだからなんとか痛い指でも弾くけれど、
これまでやっていたほかの楽器(ピアノとか筝とか三味線)だったらアウトだから、
さらに欲求不満が募っただろうな。
不幸中の幸い。